国の安全保障戦略に貢献し、インフラを安定させ、月に探査機を着陸させる。
私たちの仕事には「社会に貢献する誇らしいゴール」が待っています。
佐藤 智典 <TOMONORI SATO>
常務執行役
インフラビジネスエリア
防衛・宇宙システム事業本部長
工学博士
京都大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了、1992年三菱電機株式会社入社。産業システム研究所、先端技術総合研究所、名古屋製作所にて自動制御技術を中心とした研究開発に従事。先端技術総合研究所所長を経て、2021年常務執行役就任、2023年4月より現職。
防衛・宇宙分野のリーディングカンパニー
「防衛・宇宙分野のリーディングカンパニーとして、社会の安心・安全を守り、サステナビリティを実現する」。これが、防衛・宇宙システム事業本部のビジョンであり、ミッションです。
60年代以降、すでに約70機の人工衛星を製造し、国内外500機以上の人工衛星に、当社の開発した機器が搭載されています。また、通信、衛星の運用に欠かせない地上管制設備、大型望遠鏡、レーダー等の防衛装備品についても、多くの先端技術を研究開発し、社会の安心・安全の確保に貢献しています。
そんな私たち防衛・宇宙システム事業本部が手掛ける製品は、社会を下支えするものであり、24時間365日安定稼働が必要不可欠なものばかりです。運用に支障を来たす故障や不具合があってはならず、もしあった場合は速やかなサポートが求められます。そのため、私たちには「責任感を持ってやり遂げる」という使命と、その実現のために不断の努力と挑戦する風土があります。だからこそ、日本初、世界初の技術を、生み出してきたのだと思います。
転換期を迎える防衛・宇宙政策。市場は一気に拡大へ
「我が国の防衛生産・技術基盤は防衛力そのもの」。政府は令和4年12月に改定した「国家安全保障戦略」で、「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」に対峙していく中で防衛力を抜本的に強化することの必要性を示すとともに、「防衛力の基盤である防衛産業を支えていく」との方針を打ち出しました。令和4年12月に閣議決定された「防衛力整備計画」によると、2023年度から5年間の防衛費は、43兆円。従来の約1.6倍への増額が見込まれます。また、上述の「国家安全保障戦略」他では防衛装備品の海外への移転を促進していくことも打ち出されています。
他方、宇宙事業においても、令和5年6月に閣議決定された「宇宙基本計画」では、「政府を挙げて宇宙政策を強化していく」方針が打ち出されています。
このように、当社の防衛・宇宙事業を取り巻く環境は、大きく変わろうとしています。当社はこのような環境変化、また社会やお客様からの要請に応えるべく、大規模な増員や設備投資により、開発・生産体制を強化していく方針です。
実は、宇宙事業も社会の安全・安心確保に貢献
「小型月着陸実証機 SLIM(Smart Lander for Investigating Moon)」。私たちが宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共に開発・製造に取り組んでいる日本初の月着陸を目指した実証機です。これまでの海外の探査機に比べて、着陸地点の精度を数kmから100mオーダに向上するとともに、質量を数分の1以下に軽量化することが特徴です。
宇宙事業に参画して以来、日本の人工衛星開発の歴史をけん引してきました。有名なところでは、気象衛星「ひまわり」があります。現在開発中の次期静止気象衛星(ひまわり10号)では、水蒸気や気温等の立体的(3 次元)情報を取得することで、集中豪雨や線状降水帯、台風の進路予測精度の大幅な向上等への貢献が期待されています。
また、宇宙ステーション補給機「こうのとり」の技術を、月に向けた周回有人拠点(月Gateway)構想に生かすプロジェクトも進行中です。さらに、人工衛星の追跡・管制用の地上管制局や天文観測用の光学・電波望遠鏡といった地上設備でも、高度な技術と実績を持っています。人工衛星は、通信、気象観測、測位など、私たちの社会活動に欠かせないインフラであり、宇宙から皆さんの安全・安心確保に貢献しているのが我々の事業の特徴です。
防衛・宇宙分野をけん引する、三菱電機3つの強み
では、防衛・宇宙分野における、三菱電機の強みは何か。
1つ目は、世界初、日本初の技術を数多く有していること。防衛装備品の中では特に、レーダー、受信通信装置、指揮系統装置の分野で、多くの実績を有しています。たとえば、航空機に搭載されているフェーズドアレイレーダー。この製品には、当社が世界に先駆けて開発した革新的な技術方式が使われています。先ごろ、フィリピンへの警戒管制レーダーの輸出が実現しましたが、グローバルな競合を抑えて受注を獲得するなど、海外でも定評のある分野です。
2つ目は、お客様との関係性。防衛・宇宙関連の製品は、「何のためにどの場所で使用する」のかが明確であり、社会課題の解決に直結します。お客様の“顔”が見え、長い期間を掛けて、お客様と製品を作り上げていくことが求められる分野です。緊張感も伴いますが、お客様からは当社製品の品質と信頼性に高いご期待をお寄せ頂いています。
3つ目は、開発・製造だけでなく、保守の技術にも優れていること。防衛・宇宙に関わる製品は、壊れたり動かなかったりすると、重大な不都合が発生します。保守面で信頼できるかどうかは、お客さまにとって、重要なファクターです。三菱電機グループ内には、保守や点検を手掛ける関係会社があり、製造と保守が一体で動けることも、私たちの強みです。
成長分野で、一から立ち上げに参加する醍醐味
「市場拡大が見込まれる分野で、新しく何かを、お客様・仲間とともに創り上げていく」。エンジニアとして、これほど魅力的な経験はありません。製造設備を導入し、生産ラインをつくり、プロセスや仕組みを立ち上げて、作った製品をお客さまにお届けする。きっと、苦労もあるでしょう。未知なる壁が待ち受けているかもしれません。しかし、出来上がったシステムやラインに後から入るよりも、仕事の手応えや醍醐味は大きいはず。一人でやる仕事ではありません。たくさんのプロジェクトにたくさんの人たちが関わって、チームで力を出し合いながら目標に向かっていく仕事。そして、その先には、「月に探査機を着陸させる」「気象衛星からの高度かつ正確な情報によって自然災害による被害を最小限に食い止める」「日本と周辺地域の安全・安心に貢献する」といった、非常に誇らしいゴールが待っています。
求める人材は、電気・電子、通信、機械、ソフトウェアなど、幅広い分野にわたっています。防衛・宇宙事業で開発、製造、保守する製品は、あらゆる技術の集合体だからです。受け入れのための丁寧な研修プログラムも整備しています。防衛や宇宙に関する知識や経験は問いません。他の事業分野からの参加も大歓迎です。ぜひ、一緒に、防衛・宇宙システム事業の新たな一歩を踏み出しましょう。